秋末という友達に誘われた。
「別府公園に散歩に行かない?」というメッセージをもらった。別に予定がないので、OKって返事した。
しかし、別府公園に着いた時、秋末は見つからず電話にも出なかった。どうせ待ってても時間を無駄にするだけだから、私は先にぶらぶら歩き始めた。
そして、公園の奥にある紅葉した木と下に立ってる秋末の姿が目に入った。赤く染まって紅一点となっているその木は、遠くから眺めても非常に目立つ。
近づくと、単なる「赤色」、「橙色」や「黄色」などの言葉で言い表せない色彩がより鮮やかになった。息を呑むほどの美しさに思わず見惚れた。
私に気づいた秋末は手を振りながら歩み寄ってきた。呆気に取られた私は、「なんで電話に出なかったの?」などという質問も忘れてしまった。まさかここで紅葉が見られるとは思わなかった。
「見て!すごくきれいだよね」
「落ち葉できれいなしおり作れそう」
「これは楓?いや、紅葉かな。でもこの果実は鈴懸の木っぽい……」
「植物学者か」
真面目な表情でその木の種類を研究している秋末は一人で色々つぶやいている。正直私にとって紅葉と楓は同じもので、ましてや鈴懸の木はどんな木を分かる訳がない。
別府公園の木には名札がついていないので、最後まで私たちも答えを見つけられなかった。しかし、木の種類がわからなくても、このような美しい景色を楽しむことができる。
「よし、靴を脱ごう!」
「え?」
最初はちょっと他人の目を気にしていたが、自分の本心に従って楽しんでいる秋末を見ると、私もやってみたくなってきた。
裸足で落ち葉の絨毯を踏んだ。葉が刺さった足が少し痛痒いが、今まで感じたことのない足触りがすごく新鮮だった。
それよりもっと不思議なのは、横になることだった。横になると、違う角度から世界を見られる。木漏れ日を浴びながら休んで、普段気づかなかった景色が目に入った。そして、周りの細かい音がはっきり聞こえる。
少し眩しい光、優しくて涼しい風、揺れる葉が鳴らす微かな音、想像より柔らかい落ち葉の絨毯、秋に抱かれる私はこの静穏の中で美しい季節に心を寄せた。
「こんな風景も、家族に見せたいなー」
「紅葉に今の気持ちを込めて、家族に送ったらどう?」
秋末はそう言いながら、紅葉を一枚拾った。その紅葉の中心は橙色に染まっているが、端はまるで燃えているような赤色が美しく輝いていた。
「それはいいかもね。」
私は笑みを浮かべて答えた。
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